11月末発行の新著 『今日、私は出発する』(解放出版)。
2009年より熊本日日新聞にシリーズ連載したハンセン病回復者との対話をもとにした原稿や雑誌『風の旅人』に寄せた原稿、熊本県合志市主催の講演の記録、作家高史明さんとの対談などが収められている。
「ハンセン病をめぐる旅」から生まれた色とりどりの文章。
そのなかを一貫して流れているのは、「異郷で生き抜こうとするとき、人間はいかにして言葉を掴み取るのか」ということ。
いつも説明に困るのだが、そこにあるのは「ハンセン病についての文章」ではなく、「ハンセン病という現象をとおして人間と言葉と文学と世界を語りなおす試み」なのである。
『今日、私は出発する』という書名は、群馬県草津のハンセン病療養所栗生楽泉園に暮らす詩人谺雄二さんの詩「出発する」のなかの一節、「旅は終わっちゃいない。ボクは今日出発する」への応答として、名づけられた。