論理から身を守る。

ジョン・ケージを読んでいる。
音に近づきたいと思っている。
ふたたび島に行く前の心構えのようなものを受け取ろうとしている。


ジョン・ケージ曰く――
「彼(オスカー・フォン・フィッシンガー)はこの世界にある一つ一つに宿っている精霊について話し始めました。その精霊を解き放つには、ものに軽く触れ、ものから音を引き出すだけで充分だ、と彼は言いました」

「世界は、現実は、対象物(オブジェ)ではない。それは過程(プロセス)なんです」

「とにかく私達は、論理よりも明快にものごとを知っている、私達が論理をもたらしたんですからね。論理は発見されるように私達の前に置かれているのではないんですから」

「論理にとっては不幸なことですが、<論理>という項目のもとに私達が構築しているすべてのことは、出来事や実際に起きることに比べて非常に単純化されたことを表しているので、むしろ私達はそれから身を守ることを学ばなければならない。それが芸術の役目なんです。瞬時、私達が流れ動いてゆく出来事を論理的に矮小化しそうになるのを防ぎ、世界の姿である過程へと私達を近づけることが、役目なんです」