2012-02-01から1ヶ月間の記事一覧

死者が浮上する瞬間

「デルタと群島を結んで颱風のような螺旋運動を繰り返す複数の歴史。その歴史とは、死者の痕跡(トレース)のことである。現在の痕跡は、死者によって残されたものであり、それを読みとるのは生者ばかりではない。というより、生者がその痕跡を読みとるため…

穴を語る

横浜、鶴見、総持寺。小さい人のお供をしてお寺に参拝。小さい人は門のところで睨みをきかせる大きな仁王像はちっとも怖がらず、むしろ好きなくらいのようだが、総持寺にある日本一の大黒天(と言ってもそう大きくはない)については腰が抜けるほど怖いらし…

想像力がない者ほど、わが想像力を信じている。

「プティ・ブルジョワとは<他者>を想像することができない人間のことだ。他者が自分の人生に現れれたとき、プティ・ブルジョワは眼をふさぎ、他者を無視し、否定する。さもなければ他者を自分自身へと作り変えてしまう」ロラン・バルト『神話作用』より。↑…

従順

一歳児と過ごす午後。家遊びに飽きた一歳児を、久しぶりに、うっかり三輪車に乗せたら、この寒さだというのに、町内一周押して歩けと身振りで命じられ(頼むとかお願いするとかいう生易しいものではなく、「当然押すでしょ、えっ、押さないの?」という身振…

thank you for hearing me

さあ、原稿を書こうと体まるごと書くことに集中させていく。背後にはこの歌が流れている。 http://www.youtube.com/watch?v=SPH4_DDDz8Q 切れて、つながって、生きる、よろこびと苦しみと幸福と痛みと哀しみと強さと闇と光と。

しがみつかない

眠い。この3日間ほど、眠りが足りない。『整体。共鳴から始まる』(ちくま文庫 片山洋次郎)を眺める。「乳幼児が言葉を発するようになる前に、自分の持っているものを人に渡し、また受け取ろうとする時期がある。この「あげる」「もらう」という行為が、言…

綿の花

原発から20キロ圏内、立ち入り禁止区域ぎりぎりまで、出かけてみた。 きっちりと几帳面に封鎖されている3か所の地点まで、車を走らせた。さすがに広野町のJ VILLAGEのあたりは警察車やら警備の人びとやらものものしく、間の悪いことに(間のいいこと…

アトムの子

我が家の一歳児に、彼の母親である娘を指さして、「誰?」と尋ねたら、「おかあムニャムニャ」と、空耳アワーなら確実に「おかあさん」と聴き取るであろうような音を初めて発して、非常に娘を喜ばせた。それまでは実に大雑把というか、実用的というか、娘の…

セファルディ(スペイン系ユダヤ人)の恋歌

空を一枚の紙として 黒い海の水をインクとして ひともとの樹木を筆として さあ書きなさい、すべての痛みを、悲しみを

悪魔より怖い

『日本のミイラ仏を訪ねて』(土方正志 写真:酒井敦 晶文社)をぱらぱらと眺める。即身仏。新潟・柏崎市、信越線長島の駅から徒歩30分ほどの山中の真珠院にも即身仏となった秀快上人が石棺のなかでお眠りになっているという。ああ、そうか、東北ばかりでな…

厄介な人

東京・馬喰町art+eatにて、ルパン4世こと、編集者竹中さんといろんな企みのためのランチ。 この場所でどんなことをしようかとひそひそと。近々実施予定の「行けるところまで行く福島」ツアーの行程についても打ち合わせ。私はとにかく常磐線でとことこ行き…