2016-02-01から1ヶ月間の記事一覧

『戦争に抗する ケアの倫理と平和の構想』(岡野八代 岩波書店)より、メモ。

自分のなかで曖昧であったり、分かっているつもりだったことをあらためて知る読書。 「音速より速く戦闘機や武器がやってくるというのに、耳を傾ける時間もないような多くの言葉を並べ立てることに、なんの意味があるというのか」 いま日本で安倍政権が行っ…

全体主義と理解と和解

理解することは、生きることのすぐれて人間的なありかたである。人間は誰もが世界と和解する必要があるからである。世界とは、人がそこに余所者として生まれ、他と異なるその唯一性を失わないかぎり余所者にとどまりつづける場所である。 理解は誕生とともに…

ユダヤのハシディズムと時宗・一遍上人「踊り念仏」

昨夜の朗読劇「ディブック」上演前に、ユダヤのハシディズム(ユダヤ教敬虔派)の概略を進行役の赤尾光春さんが解説する際に、「タルムードの学習に偏重したラビ・ユダヤ教のエリート主義を批判し、無学な者も祈り、歌、踊りといった日常的な所作を通じて神…

昨夜は両国のシアターXにて、朗読劇「ディブック」を観た。

ユダヤの民間伝承に伝わる悪霊ディブックの伝説を下敷きに、「前世の契りによって結ばれた若い男女が辿る悲劇を描いたユダヤ演劇史上もっとも有名な戯曲」とパンフレットにある。2時間弱の長丁場。 生者も死者も同等に扱われるユダヤの律法による裁きの場。 …

倫理的責任 by 岡野八代

岡野八代による、ジュディス・バトラーの言葉の引用。 このバトラーの言葉の背後には、レヴィナスがいる。 「ある特殊な仕方で、そして矛盾を孕みつつ、わたしたちの責任/応答可能性は、いったん他者の暴力に服従させられてしまったときにこそ、高められる…

傷つけられた人々の声を聞きとるために

と、帯にある。この本を著者が執筆した2015年の、「日本の政治構造を根本から転覆する第二次安倍晋三内閣の憲法破壊政治が、世界大に展開する合衆国の軍事行動と軌を一にした動き」であるという状況の中で、 著者はその暴力の連鎖のはじまりの地点として、20…