明日の時の長さは?

テオ・アンゲロプロス永遠と一日』を独り観る静かな夕べ。束の間、通り雨。

「明日の時の長さは?」
永遠と一日

永遠と一日』。舞台はギリシアの港町テッサロニキ。詩人の最後の一日。その一日は、思いがけず一日を共に過ごすことになるアルバニアギリシャ人の難民の子供とめぐる「わが人生の旅の一日」ともなる。重なり合うように行き交う現在と過去と未来、現実と旅と夢。

記憶と旅と夢のなかで惑い、やがて気づきに至る詩人の言葉。

「おかあさん、なぜ、願うことが願いどおりにならない? なぜです。なぜ我々は希望もなく、腐ってゆくのか。苦痛と欲望に引き裂かれて。なぜ私は一生よそ者なのか? ここがわが家だと思えるのは、まれに自分の言葉が話せた時だけ。自分の言葉……。失われた言葉を再発見し、忘れられた言葉を沈黙から取り戻す……、そんなまれなとき時にしか自分の足音が聞こえない……。なぜです? 教えてください。なぜお互いの愛し方がわからないのか」

「私は今夜向こうへ渡る。言葉で君をここに連れ戻す。すべては真実で、すべてが真実を待っている」