とても小さな棘のような疑問

夏至。家を大掃除。夏に備えて、ごしごしと浴室を磨く。かびの気配をあらかじめ消す。ごしごしと無心にこする。
心もごしごしこすれば、いろんなものをきれいに洗い流せるのだろうか。いや、心には無数の襞があるものだから、そう簡単にはいかないんだろうな。などとバカなことをふと思う。

友人と話していて、その友人に言おうとして、のみこんでしまった言葉が、心の襞にひっかかっている。
「生きがいというのは、そう簡単に捨てられるものじゃないでしょう?
あなたが捨てたものが、あなたの生きがいだというなら、あとには何が残っている?」

生きがいと引き換えにしてまでも手に入れたいものがあるのだと、友人。
それほど大切なものって、何? 

知りたい。でも、何となく聞かぬまま、今日の大掃除でも洗い流せぬまま、心の襞にひっかかったまま。