講演録

ホ・ヨンソン詩集『海女たち』の翻訳をめぐって   ~もっとも低くて、もっとも高くて、もっとも遠いところの声~

ホ・ヨンソン詩集『海女たち』の翻訳をめぐって ~もっとも低くて、もっとも高くて、もっとも遠いところの声~ (ホ・ヨンソン著 訳:姜信子・趙倫子) <1>歌に呼ばれて、めぐりめぐった旅のすえの済州島 もう20年あまりも前になります。日本とか韓国とか…

「無数の安寿、あるいは声のアナキズム」 @ 20190618立教大学「こっちあっちの人類学」(奥野克巳教授) ゲスト講義草稿

「無数の安寿、あるいは声のアナキズム」 前置き1 私の国籍 昔、自分のことを在日・韓国人と思ってました。物心ついた時から、自分は韓国人であると。(日本国籍でも、北朝鮮籍でもないという意味で) ところが、最近になって、韓国から取ってきてわが家の…

「なもあみだんぶーさんせうだゆう外伝」

2019年5月11日 東京自由大学 「異界の声。常世の歌」第二回 「流浪のうたびと、 ~アフリカの吟遊詩人、さまよい安寿」 <話の前置き> 説経節「山椒太夫」より、弟厨子王の行方の自白を迫られた安寿の拷問死の場面 十二格(十二段)の登梯(はしご)にから…

2018年8月21日 ブリティッシュコロンビア大学にて。

まずはこの絵。タイトルは「記憶の森」。by 屋敷妙子。 ギャラリーの壁面いっぱいに広がる巨大コラージュ作品だ。 現在は中国の武漢博物館に収蔵されている。 この「記憶の森」は、2011年3月11日以降の時の流れのなかで、 2014年4月〜2015年3月までの一年間…

基調講演  私の「切れてつながる」

●「君は「空っぽ」だな。」2010年.大阪・すかんぽにて。 東京で初めてお目にかかって、それからまたすぐに大阪で2回目の出会いのときのことでした。これは大変ショックな言葉だったのですが、なるほど、確かにそうだ、私は空っぽである、とそのとき私は珍し…

トークイベント前口上

<韓国の小説を読む愉しみ>のために。 まずは、私、姜信子の韓国文学体験。 植民地期の李光洙をはじめとする作家や韓龍雲をはじめとする詩人たち、戦後では崔仁勲、李清俊といった重厚な作家たち、少し変わったところでは李外秀といった作家。かなり偏りが…

いまふたたびの、はじまりの荒野

<1>「旅と物語」。そんなテーマの会に参加することになって、「遠い東のチャガイ」のことを思い出した。ロシア極東へと流れていった朝鮮人たち、後にスターリンによって中央アジアに追放され、一代ごとに生きる場所を変え、旅を生きてきた人々。高麗人か…