韓国文学

歌集『月陰山(タルムサン)』(1942)尹徳祚のこと

歌集『月陰山』。 これは、植民地において最初に朝鮮人によって編まれた歌集。 尹徳祚は、2024年刊の『密航のち洗濯 ときどき作家』が基にした日記の主である尹紫遠と同一人物。 戦後、生きる術を求めて日本に密航してきた尹紫遠は歌を詠むことはなかった。 …

女の言いぶん  『「日本語」の文学が生まれた場所』黒川創

yomukakuutau.hatenadiary.com 2023年12月7日の記事の補足。 近代文学が獲得する「女たちの話体」という見出しのもと、序で以下のようなことを、黒川さんは語る。 「漢字文化圏」としての極東アジアにおいて、漢文という書き言葉の教養は、女性を除外するホ…

作家キム・ヨンスと詩人白石と詩人金時鐘と詩人キム・ソヨン

キム・ヨンス『七年の最後』(橋本智保訳 新泉社)を読んだ。 これは、北朝鮮の体制の中で、ついに、詩を書かないことで自身の文学を全うした詩人白石の、詩を書かなくなる最後の7年を描く物語であり、キム・ヨンス自身の文学観が語られている物語でもある。…

ファン・ジョンウン『続けてみます』  メモ

読み終わって、すぐに、こうやって書きながら何が語られていたのかを想い起こしてゆく、眠りにつく前、半分夢の中で読んでいた世界だから、彼らの世界もまた私の夢のような心持ちにもなる、目覚めても忘れることのない夢。 夢のなかで、私は思わず呟いている…