詩
私は政治的に朝鮮を侵略したのではなく、より深く侵していた。朝鮮人に愛情を持ち、その歴史の跡をたのしみ、その心情にもたれかかりつつ、幼い詩を書いて来たのである。 自然界といのちとのシンフォニーへの愛をはぐくんでくれたのが「日帝時代」の大地であ…
お題は「箱」です。 まず、そのお題をいただいてから、絵を描きます。2分で。 二人一組になって、相手の描いた絵を見ながら、インタビューします。6分で。 私もインタビューされます。6分。 そして、互いに、相手から聞き取った物語を、詩にします。タイトル…
今日、2021年12月11日は、大阪・西成 ココルームで、煤払い 詩の朗読会 ライターの社納葉子さん、ココルームの上田 假奈代さんと三人で、釜ヶ崎芸術大学の皆さんに囲まれて、年末に人生の煤払いをしようということで、あれこれ語り合いました。 そのなかで読…
ココルームを主宰する詩人 上田假奈代さんの詩のワークショップに参加。 cocoroom.org 二人一組、 お題は「みかん」で、 最初に「みかん」という言葉に思い浮んだ絵を2分くらいで下手くそに描いて(これ大事)、 その絵を手掛かりに互いに5分くらい、みかん…
――これから進む道のための書き抜き―― 瓦礫 「新しい天使」と題されたクレーの絵がある。そこには一人の天使が描かれていて、その姿は、じっと見つめている何かから今にも遠ざかろうとしているかのようだ。その眼はかっと開き、口は開いていて、翼は広げられ…
碑銘遠き日の石に刻み 砂に影おち崩れ墜つ 天地のまなか一輪の花の幻 風景水のなかに火が燃え夕靄のしめりのなかに火が燃え枯木のなかに火が燃え歩いてゆく星が一つ 悲歌濠端の柳にはや緑さしぐみ雨靄につつまれて頬笑む空の下水ははつきりと たたずまひ私の…
「생(命)의 슬픔(生の悲しみ)」 (原文日本語 韓国語訳:金利真) 사람은, 외로움도 슬픔도 아픔도, 결코 메워낼 수 없어서, 다만 한 가지 가능한 것은, 존재의 외로움, 존재의 슬픔을 함께 바라보고, 함께 있는 것 일테지. 존재의 심(芯)에 머무는 외로움…
妣(はは) 桃太郎 風車が赫いね 西のそらに いちめんにまわっているよ みえないのかい そうかい 血の海さ 遊女 つばを吐いて とび散ったほうへ歩く 風がないね 虫 たとえば紫宸殿の 即位の秘儀 その観念をかぜにさらし水にさらし つみくさの丘にすわる たと…
森崎和江の身体感覚と言葉への感性。あまりにも鋭敏な感覚。 森崎和江の世界は言葉にならない欠如に満ちている。その欠如を生き抜いていくには、言葉が必要、思想が必要、切実に必要。 それは、はじまりの言葉であり、はじまりの思想になるほかはない。 ある…
「居場所を失くしたカミサマたちの歌」 悪いことをしたらカミサマのばちがあたるというけれど、 問題はそのカミサマがどこにいるかということでして、 まだ私がタンポポの花やテントウムシくらい小さかったころに、 おばあちゃんがそう言って教えてくれたこ…
「桜の木の下で (溝口トヨ子ちゃんのテーマ)」 (「リンゴの木の下で」のメロディで) 桜の木の下で 今日もまた会いましょう たそがれ 赤い夕陽 海に沈むころに 楽しく輪になって みんなで歌いましょう 思い出す かわいいあの子 桜の木の下で
悪いことをしたらカミサマのばちがあたるというけれど、 問題はそのカミサマがどこにいるかということでして、 まだ私がタンポポの花やテントウムシくらい小さかったころに、 おばあちゃんがそう言って教えてくれたことには カミサマはどこにでもいる 山にも…
『越境広場』第7号。女の声が強く響く『サルガッソーの広い海』(ジーン・リース)と『第四世紀』(エドゥアール・グリッサン)を対比させつつ、カリブ海の作家たちの「もうひとつの物語」を見渡しつつ、正史のなかには存在しない口承的記憶と文学について語…
そもそもは、鳥獣虫魚草木、すべての生者、死者が集う鎮魂と芸能の場として開かれた乙女塚、 1993年に砂田明さんが亡くなってから、だんだんと静まりかえっていった乙女塚、 そこで、いまいちど、芸能祭をしよう、みんなで歌い踊ろう、砂田さんの詩を語って…
ぼくが水を聴いているとき ぼくは 水であった ぼくが樹を聴いているとき ぼくは 樹であった ぼくがその人と話しているとき ぼくは その人であった それで 最上のものは いつでも 沈黙 であった ぼくが水を聴いているとき ぼくは 水であった (山尾三省「水」…
「希望なき人々のためにこそ、希望は私たちに与えられている」 by ヴァルター・ベンヤミン 「神話の呪縛を断ち切りながら瓦礫の山を掘削する思考が、「忘れがたい」生の記憶を探り当て、それを今ここに呼び覚ます像に結晶するとき、時代の闇を貫く道を切り開…
現代詩手帖に寄稿しました。
と、『歌舞伎以前』(岩波新書)の「黄金世界」の章で、林屋辰三郎は、安土桃山黄金世界の繁栄の中、堺の町衆に象徴される武家や公家の世界とは異なる、人間的欲求を自由に放縦に歌う歌謡が現れたと語る。たとえば、町衆の愛唱歌とされる「閑吟集」(1518年…
「もう一篇の詩」 金子光晴 (『人間の悲劇』より)恋人よ。 たうたう僕は あなたのうんこになりました。そして狭い糞壺のなかで ほかのうんこといっしょに 蠅がうみつけた幼虫どもに くすぐられてゐる。あなたにのこりなく消化され、 あなたの滓になって あ…
逃げても逃げても追いかけてくる影だけの男に追われて、とうとう見知らぬ海辺の町へと落ちていきました。 小さな町でした。海辺はにぎわっていました。砂浜ではなく、護岸に守られた浅い海でした。 ところどころなめらかな岩がゆるやかに突きだしている穏や…
[[「晩秋」 塔和子]] あなたは 私のために何をしてくれたか 心のうつろを埋めてもくれなかった 心の寒さもひきむしってはくれなかった けれども居ることによって 安らいをもたらせてくれた 大地の上に共に居るという 安心感を与えてくれた 私はあなたのため…