生きる歓び

横浜みなとみらいで姉と新潟・柏崎、佐渡の旅の打ち合わせ。行き帰りの東横線の中で「生きる歓び」(保坂和志)を再読しつつ、神話的時間についてふと考える。
神話的時間:感じることや生きることが言葉と分離する以前の状態(by 鶴見俊輔

「生きている歓び」とか「生きている苦しみ」という言い方があるけれど、「生きることが歓び」なのだ。(『生きる歓び』)

書くこと読むことそれ自体が歓びである小説を目指す保坂和志は、神話的時間を言葉に移し変える不可能に挑戦しつづけているように思う。

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沈黙。

ヴラジーミル 何を言っているのかな、あの声たちは?
エストラゴン 自分の一生を話している
ヴラジーミル 生きたというだけじゃ満足できない。
エストラゴン 生きたってことをしゃべらなければ
ヴラジーミル 死んだだけじゃ足りない?
エストラゴン ああ足りない。

(『ゴドーを待ちながら』第二幕)

ゴドーを待ちつづける間、何かを考えないためにしゃべる二人の会話。