詩人金時鐘を語るならば、詩人小野十三郎「詩論」を読まずには済まされぬ。 


詩論39 新しい郷土観が創られるためには、人間一人一人がその精神に、ダムの湖底に沈み去った故郷を持つ必要がある。

これは強烈な言葉。


詩論37 田舎はいいなどと云っている奴があれば、その田舎に愛想をつかさせることも必要である。それによって人間の精神の故郷が失われるということはないだろう。むしろかかる一種の荒廃を経験しなければ、現代の素朴な郷土観は戻ってこないのだ。


そうだ、わたしたちは、大切なことでもなんでも、すぐに忘れるから、くりかえし、くりかえし、「荒廃を極めなければならない」(金時鐘)のだ。


詩論28  日本の風景や自然も又、そこから逸脱さるべき或るものだ。


詩論235  大衆にもっとも関係があるものに(例えば、浪花節や流行歌用のごとき)、もっとも関係を絶たなければならないものがあり、大衆ともっとも関係のないもの(現代詩もその一つ)が大衆ともっとも深い関係にあるという証明。これがやれなくては、詩などに食い下がっているかいがない。


金時鐘いわく「私に植民地がやって来たのは、物理的なものとしてではなかった。非常に優しく美しい日本の歌として、私の植民地はやってきました」


★ 歌/植民地からの脱出としての詩。/span>
 みずからの歌をうたうということ。

★ 抒情には批評がない。 「リズムは批評だ」