世界は騙されることを望んでいる。

『自律への教育』(テオドール・W・アドルノ 中央公論新社)を読む。 備忘録メモ。


「われわれは皆、他人の不幸には充分耐えられるだけの強さを持っ​ている」 ラ・ロシュフコー公爵フランソワ六世。

「文化の原理をなす粗野さを恥じる心が、今日でもなお、人びとの中に目覚めていない、ということを、まずはっきりと知っておかねばならない」アドルノ

「啓蒙とは、人々が自分自身で招いた他律から抜け出すことである」 カント

カント、アドルノ、そして現在を生きる私たちの問い。「私たちは啓蒙を行う時代に生きているか?」

「人々はいつも騙される、それというのも今日の他律のメカニズムは、地球規模に高まった、すなわち「世界は騙されることを望む」であるからだ」 アドルノ

「どこか特定の領域で私たちの世界に本当に介入して変革しようと​する試みは、一見、ただちに現存するものの圧倒的な力にさらされ​、無力さを思い知らされることになります。変革しようとする者が​、実際にそれをなしうるのは、きっとひとえに、この無力そのもの​と自分自身の無力さとを、自分で考えるきっかけとし、またおそら​くは自分で行動するきっかけとすることによってなのです」 アドルノ