2023-01-01から1年間の記事一覧

李起昇 「日本は韓国だったのか 韓国は日本だったのか」 メモ

この本はちょっと読むのがしんどい。 結論ありきで、信念と情熱で書かれたものだからだと思う。 この結論の論証するために集めてきた歴史パズルの無数のピースを眺めていると、 その結論よりも、ここまで筆者を駆り立てたものに思いを馳せて、ため息が出る。…

李起昇 作品抜き書きとメモ その2「鬼神たちの祝祭」2019

この人は、なんというか、言語原理主義のように感じる。 すべてを言語から説明をつけようとする。 日韓の違いとか、差別の構造とか。 明晰さより、息苦しさが先に立つ。 日本と韓国とのはざまで、日本と韓国に囚われて生きること、そう生きざるをえないこと…

李起昇 作品 抜き書き その1 ゼロはん

① p57~58 逃げる。 思えば生まれた時から逃げ回っているような気がしてならなかった。チョウセンと言われないために、変な目で見られないために、酒ぐせの悪い親父から、貧乏から、汚ない家から、朝鮮部落から、土方から、キムチから、チマチョゴリから、朝…

『深淵の沈黙』ファム・コン・ティエン  の言葉

◆ニコス・カザンザキス『苦行』より。 黙って、堂々と、そして希望を持たずに深淵へと旅立つこと、それがおまえのなすべきことだ。

百年の孤独  言葉集

世界を広くめぐり歩いてきた男たちの話では、メルキアデスの一族は人知の限界をはるかに超えたために、この地上から抹殺されたということだった。 p44 (メルキアデスは)実際に死の世界にいたが、孤独に耐えきれずにこの世に舞い戻ったのだ。生への執着にた…

金石範 メモ2

友からの手紙(1948年4月16日)の一節。 八月十五日、あの日! われらの歓喜と感激はどのようなものだったか? あのような歴史的、いわゆる解放は、不幸にもとんでもないところへと逆行し、民生は有史以来の惨憺たる苦境に陥り、民族は最大の危機に苦…

言葉   対話集 原田正純の遺言』より

「ぼくの経験では、歴史を動かすのは多数派じゃないんです。ほんとうに志のある何人かですね」

金石範  メモ

「支配者たちは過去は永遠に消滅したものと考え、またそのようにしてきた。彼らは過去を氷詰めにして永遠に地中に埋もれたものと考えてきた……」byショスタコーヴィチ (金石範『満月の下の赤い海』より) このショスタコーヴィチの言葉を引いて、さらに金石…

『死者は生者のなかに』 書評 熊本日日新聞

抜き書き その3 (作業中)

第7章 みんなは天使に変身ね 「ユダヤ人問題に関しては、それが「美談」であれ「醜聞」であれ、国民的な記憶からことごとく排除してしまおうとする傾向が戦後のポーランドでは強」い。 ドイツ軍占領下のポーランド社会に蔓延していた「密告熱」は、後のポー…

抜き書き その2

第3章 十人の敵でも与えられないほどの害 サバイバーの性差による経験の質の問題。 ナチズムとポルノグラフィ産業の共犯性 ――ヒトラーの「反ユダヤ主義」が誇大に宣伝した「ユダヤ人の性欲」 ――イスラエルにおいてさえ「ポルノグラフィ」が一個の産業と化し…

抜き書き その1

序 <詩の始まり> 詩人ジェローム・ロゼンバーグ 私がトレブリンカにおいてはじめて耳に聞こえてきた詩のいくつかは私がなんのために詩を書くのかという問いに対するもっとも明快なメッセージだった。アウシュヴィッツ後に詩を書くことが可能か可能でないか…