言葉

言葉   森崎和江

私たちの言葉は、まだその闇へ到達できておりません。 (『ははのくにとの幻想婚』所収「地の底のうたごえ」より) 性が単独な機能ではないのに、女の性は生誕を具象としてもち、男の性は生誕を抽象とします。困ります。なぜなら具象の力とはたいへんなもの…

「不知火曼荼羅」石牟礼道子 (砂田明『海よ母よ子どもらよ』より) 

明後日2020年5月9日 必要で、緊急な、大事なことのために、水俣を訪れる前に、乙女塚の塚守であった故・砂田明さんの本を読んでいる。 その本に寄せられている石牟礼道子さんの文章から。 ----------------------------------------------------------------…

本を読みつつ、雑感。

「希望なき人々のためにこそ、希望は私たちに与えられている」 by ヴァルター・ベンヤミン 「神話の呪縛を断ち切りながら瓦礫の山を掘削する思考が、「忘れがたい」生の記憶を探り当て、それを今ここに呼び覚ます像に結晶するとき、時代の闇を貫く道を切り開…

物語化を拒否する「傷」がある。

与えられる物語ではなく、新たな物語を創造しようとする傷がある。 傷は永遠の底なしの穴としてそこにある。物語はいつも「穴」から生まれる。 古い物語を飲みこんで、噛み砕いて、捨て去る穴。 それ自体は物語になりようもない、取り返しのつかない穴、ある…

ハンナ・アーレント『全体主義の起源』最終段落。

しかしまた、歴史におけるすべての終りは必然的に新しい始まりを内含するという真理も残る。この始まりは約束であり、終りがもたらし得る唯一の<メッセージ>なのである。始まりは、それが歴史的事件になってしまわぬうちは、人間の最高の能力なのだ。政治…