森崎和江

牛頭天王と十一面観音 『牛頭天王島渡り」祭文より メモ

奥三河 東栄町に残る「牛頭天王島渡り」祭文のうち、 牛頭天王の子である八王子の第八番目 蛇毒気神の物語に驚かされる。 竜宮から日本へと向かう牛頭天王の一行(妻の薩迦陁女、七人の王子、8万4千の眷属ら)を赤き毒蛇が波をかきわけ追いかけてくる。 赤き…

森崎和江『奈落の神々 炭坑労働精神史』 メモ3 

なぜ、森崎和江は、奈落の底の神々を追ったのか? 第三章の最後の項「消えない」にその問題意識、森崎和江の立ち位置ははっきりと語られている。 炭坑という奈落に生きる人びとが、共に生きた奈落の神々がいる。 坑夫たちは彼らの「やまの神」のみならず、地…

森崎和江『奈落の神々 炭坑労働精神史』 メモ2  内発性をめぐって。

この本はを読むのは15年ぶりで、 その15年間は私自身の旅の作法、人びとの向き合い方、生き方を 大きく変えてきた15年でもあった。 だからだろう。 まるで、初めて読む本のようにして、この本を読む。 かつて文字で追って頭で理解した(と思っていた)ことと…

森崎和江『奈落の神々 炭坑労働精神史』 メモ

<はじめに>から なぜ森崎和江は果てしなく旅をしたのか……。 「私はぬきさしならなくなっているだけである。引きかえすすべがなくなっている。」(森崎和江『奈落の神々 炭坑労働精神史』はじめに より) 思わず、「あっ」と小さな叫びをあげて、息をのんで…

言葉   森崎和江

私たちの言葉は、まだその闇へ到達できておりません。 (『ははのくにとの幻想婚』所収「地の底のうたごえ」より) 性が単独な機能ではないのに、女の性は生誕を具象としてもち、男の性は生誕を抽象とします。困ります。なぜなら具象の力とはたいへんなもの…

森崎和江  詩をめぐって

詩とは、自然や人びととのダイアローグだと、幼い頃から思ってきました。人っていうのは、自然界の中で、鳥や、みみずや、蟻なんかと一緒に生きているわけでしょ。小さい時、私はいつも、詩や絵を描いて遊んでいたけれど、それは、天然、自然とのダイアロー…

森崎和江 産みの思想  メモ

「産み・生まれるいのち」より 死について古来人びとはさまざまに考えてきているのに、産むことについてなぜ人間は無思想なのだろうと、若い頃から疑問に思ってきました。死は個人にとって、個としての生活を完結させます。これにたいして、産むことは個に限…

森崎和江『まっくら』メモ

出発点。 <はじめに>より 私には、それとも女たちは、なぜもこうも一切合財が、髪かざりほどの意味も持たないのでしょう。 愛もことばも時間も労働も、あまりに淡々しく、遠すぎるではありませんか。なにもかもがレディ・メイドでふわふわした軽さがどこま…