2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧

恋と革命

あ、明日はみなとみらいで花火だった、なぜ今日来ちまったんだ…と、なんだかしくじったような気持で、横浜のインターコンチネンタルホテルのカフェから午後の港を眺めた。 元町をはしからはしまで一往復した。途中、ポンパドールの角の路地をちらと横目で見…

希望は方法である。

恵比寿の東京都写真美術館に行く。わが友アン・ビクトル(旧ソ連のコリアンディアスポラの写真家)の写真が都写真美術館に収蔵されることになりそうで、その打ち合わせ。2004年に東京、福岡、熊本で「百年の記憶」というタイトルで巡回展示された、中央アジ…

星と※

少し太宰づいて「斜陽」を再読。やっぱりうまいな、太宰、やんなっちゃうな。その昔、もう三十年以上前、NHKで「斜陽」をドラマ化して、かずこ役を八千草薫が、作家の上原役を木村功が演じたのを見た記憶がある。以来、かずこと八千草薫が重なっていたのだが…

模様替え

収納しきれなくなってあふれ出たモノをなんとか収納しようと、転倒防止ツッパリ棒付のスチールラック導入。これつまり、ツッパリ棒のおかげで、うまいことすれば、天井までギリギリ収納できるのがミソ。で、昨日の午後に、今まで衣類や雑貨を収納していたケ…

かったい道

ふと「かったい道」のことを思い出して、『日本的思考の原型』(高取正男 平凡社ライブラリー)を読み返す。「かったい道」とは人知れず、癩者が旅する隠れ道。「この世と交わるのを拒絶された人たちが、死ぬまでまわりつづける道」。宮本常一の『忘れられた…

ものに狂うてみしょうぞ

「この者を、一引き引いたは、千僧供養、二引き引いたは、万僧供養」と、書き添えされた土車に乗せられたるは、餓鬼阿弥陀仏、その正体は閻魔大王の計らいで地獄からよみがえった小栗判官。 その土車を、餓鬼阿弥陀仏が夫・小栗と気づかぬ照手姫が、心は、も…

実存的

微熱。ひとりの人間の内側に相矛盾するAとBという心情、もしくは行動がある。その矛盾に立ち向かうときの3つの作法。(いや、もっと多いかもしれないが、とりあえず、ざっくりと3つ)。 1.AとB、どちらか理解できるほう、言語化できるほう、つまり、扱い…

オーバーヒート

江戸川乱歩を久しぶりに読み返し、思いもよらぬことに、生理的に拒否感を覚える。いったい、どうしたことだろう? 語り口がどうも肌に馴染まない……。庄司薫「赤頭巾ちゃん気をつけて」、なにげに読み始めて、甘ちゃんお坊ちゃん風のやけに言い訳の多い語り口…

蓮葉の上の宇宙的妄想

『一千一秒物語』稲垣足穂 前世の記憶のようにかすかで曖昧で、でも忘れかねる、確かにこんなことがあったよ……、というような感覚にさせられるショートショートの連なり。いや、これは来世の記憶なのかな。前世の自分が見た夢のなかの来世の自分が見ている夢…

つづける

「おれひとりが人間で、ほかのものがすべて神なんだ」 ベケット 安部公房『燃えつきた地図』を読む。この空気、どこかで吸ったことがあると思いつつ、読み進めるうちに、ああ、これはオースター、と不意に気づく。 失踪した男、失踪した男を探す男、探す男は…

そろそろ……

『反=近代文学史』(中条省平 文芸春秋)を読む。 漱石の『こころ』を内面の特権化を極限にまで突き詰めた作品とし、ここに現われ出た内面の特権化の傾向が日本の近代文学をある部分でやせ細らせたのではないかという疑問を出発点に、中条省平は、『こころ…

偏屈

『ひそやかな歌声 ―島とおばあとハンセン病と―』。7月5日より熊本日日新聞でスタートの短期連載のタイトル。毎日曜掲載、全6回。5月に訪れた鹿児島鹿屋の星塚敬愛園でのハンセン病市民学会交流集会の体験がもとになっている。あのときに感じた予定調和の…

他者のことば

昨日は、1日、映画ファン感謝デー、ということで、原稿行き詰まり打開(?)のために、『愛を読むひと』を渋谷で観てきた。ケイト・ウィンスレットがあんなに上手いとは思わなかった。 本を読むということ、本を聴くということ、声を行き交わすということ、…